家事事件の手続き
平成25年1月1日より「家事事件手続法」が施行され、従来家庭裁判所での手続きを定めていた家事審判法は廃止されました。家事審判法が31条で構成されていたのに対し、家事事件手続法は293条と大幅に条文を増やし、手続内容等も明確になりました。
これは当事者の手続保障が拡充される反面、当事者の「自助努力」も求められていると考えることができます。
当事務所では、遺言・相続、夫婦・親子関係、成年後見等家庭に関する事件は家庭裁判所が取り扱っています。
家事事件の例
遺産分割協議がまとまらない
遺産分割の話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所での調停や審判の手続きによる必要があります。遺産分割調停というのは、家庭裁判所での遺産分割の話し合いです。調停委員が各相続人の間に入って意見を聞いたり、家事審判官(裁判官)から具体的な解決策が提案されたりしながら、話し合いが進められます。調停が不成立となった場合には、当然に審判手続きに移行し、裁判所が分割方法を決定することになります。
離婚・養育費・慰謝料・財産分与の請求をしたい
養育費について支払金額、支払方法などを書いた念書や契約書がある場合、一般的には、まず、内容証明郵便等で、契約に基づいて相手方に支払いをするよう催促します。それでも支払ってくれないときには、訴訟手続で請求します。さらに、養育費を支払えとの判決が出たにもかかわらず、相手方が支払おうとしない場合には、相手の財産や給与を差し押さえて、強制的に支払ってもらうこと になるでしょう。なお、養育費について公正証書を作成している場合や、調停離婚で養育費の支払方法などについても取り決めがある場合は、訴訟手続を経るこ となく差し押さえが可能です。
不在者に関する手続
不在者とは、従来の住所または居所を去り、容易に帰来する見込みのない者をいいます。必ずしも生死不明であることを必要とはしませんが、実際に不在者管理人選任申立をするのは、行方不明の場合がほとんどです。 また、不在者の生死が一定期間(普通失踪宣告の場合には7年間)不明の場合には、利害関係人より失踪宣告の申立をすることができます。失踪宣告がなされると不在者は死亡したものとみなされ、相続が開始します。
親子関係に関する手続
親子関係の手続は、親権、子の看護(養育費、面会交流)、実親子(嫡出否認、認知)、養親子(養子縁組、離縁)など多岐にわたります。
夫婦関係に関する手続
当事者間の話し合いによって、離婚についての合意ができないときは、家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。また、離婚することには合意していても、子供の親権や、養育費、慰謝料など、離婚に関して付随する問題についての合意ができないときも離婚調停の申立をします。
また、協議離婚をする際に財産分与や慰謝料についての定めをしなかった場合、協議離婚後であっても財産分与や慰謝料請求の調停申立をすることができます。ただし、離婚のときから、財産分与では2年、慰謝料では3年経つと請求できなくなるので注意が必要です。